目で見る管理
トヨタ生産方式では、さまざまなネーミングで分かりやすい言葉をよく使っているように思います。このコラムで述べる「目で見る管理」も、そのうちの一つです。
「目で見る管理」とは
目で見る管理とは、異常が発生したときに、誰もが異常が発生したと判る仕組みのことです。単に効率化だけを追求するだけでなく、異常が発生したときにすぐに判るようにすることもトヨタ生産方式では大切な要素です。
異常が誰でもすぐに判るようにするために、誰もが異常と判る工夫、つまり異常の顕在化を行うことが大切です。
「目で見る管理」の例
「目で見る管理」の例をご紹介したいと思います。異常があったときにアラームで知らせることや、赤色のライトが点滅したりする「アンドン」といって設備や作業の異常を目で見る管理の道具を活用します。
また、ホワイトボードなどで作成した、各種の管理版を活用します。管理版には、例えば作業開始時間と終了時間を記載したり、荷物の個数と作業にかかった時間を記載したりと、異常が数値化されて、判りやすくなります。これらのデータは、単に数字を並べたもので終わるのではなく、グラフなどで視覚化するなどして工夫します。
最後に床に描かれた区画線も異常の判断につながります。例えば、決まった場所に決まったものを置いていくことが求められますが、そこからはみ出して品物が置かれた場合には、トラブルの元になりかねません。そういった異常も区画線によって判断が可能です。
作業の遅れや進みの「目で見る管理」
作業の遅れや進みが目で見ることができたら、作業が進んでいるところで働いている人の一部の人が、作業が遅れているところに応援することが可能となります。
そのためには、作業人員は作業場所で固定化するのではなく、多能工化していき、誰もがさまざまな工程での作業ができるように訓練してもらいます。
また、誰がどの工程作業ができるのか、その訓練度合いを「目で見る管理」することも大切です。